酒好きを演じる植木等はアンバサダーではない
編集長の四家です。本年もよろしくお願いいたします。
この『アンバサダー・ラボ』を始めたころから「アンバサダー」という言葉について、Googleアラートでチェックしています。
で、きちんとカウントしたわけではないのですが、企業や自治体などが「アンバサダー」を任命するケースは増えているような気がします。もちろん、自分が注目したから増えているように感じられるということもあるでしょうが「ちょっと前までこんな言葉、そんなに使わなかったよなあ」という実感は確実にあります。
実際は「アンバサダー」の使われ方も多様で、なかなか定義できないのですが、たとえばタレントを「CMに起用」というのと「アンバサダーに任命・就任」では、やはり大きく違っていることが多いようです。
たとえばTV-CMですとタレントは「出演」しますね。文字通り出て演技するわけです。
演技ですから、リアリティは重要だとしても、ほんとのことでなくてもいいわけです。
思い出すのは故・植木等氏です。
バンドマン・コメディアン・俳優としての長い芸歴の中で、植木さんは何度かお酒のコマーシャルに出ています。
僕が一番覚えているのは「生貯蔵酒」のCMで、グラスに入ったお酒を持った植木さんが「なまちょ!」と嬉しそうに笑う、その笑顔は何ともチャーミングでした。今調べたところ1993年の作品だそうです。20年前。
で、何が言いたいのかというと。
これはまあ、有名な話ですが、植木さんお酒飲めないんですね(笑)
別にいいんです。だってCM作品の中の演技なんだから。初の大ヒット曲『スーダラ節』のイメージもありますし。
しかし「アンバサダー」は、こうはいきません。
商品・サービス・自治体・イベント……、いろいろありますけど、ともかく「知見を自分の言葉で語る」ことが要求されます。誰かの書いた台本に従って行う「演技」ではだめなんです。
優木まおみ、UGG愛用。クリスマスのおすすめはあったか小物 | ファッショントレンドニュース|FASHION HEADLINE
元々UGGのファンだったという彼女は、「UGGがまだ日本で展開していなかった頃から、海外のセレブリティが愛用しているのをファッション雑誌などでよくチェックしていたので、日本に上陸した時すぐにブーツを買いに行った。冬に履くだけでなく、あえて春夏にショートデニムと素足に合わせてカリフォルニアっぽいスタイルを楽しむのも素敵だと思う。出産を控えた今は、あたたかいUGGのブーツを毎日履いてしまうくらい愛用している」と語った。
また、ファッション好きで知られる優木さんらしく「クリスマスカラーもかわいいし、ブーツだけでなく小物もすごくかわいい。今日の私みたいにチュールのスカートにブーツを合わせたり、リボン付きのグローブをはめてガーリーな感じにするのもおすすめ。イヤーマフを着けて、顔周りにファーを持ってくると雰囲気が華やぐし、ちょっとした甘さもプラスできていいと思う」とUGGのアイテムを取り入れたコーディネートを提案。
このように自分の知見や愛着から言葉を語り発信する人こそが「アンバサダー」で、それはタレントでも一般の方でも同じなのだと思います。
お酒を飲めないタレントは、酒好きを演じることはできても、アンバサダーとしてお酒を語ることはできないのですね。
「自らの知見を、自らの言葉で語る」アンバサダーが活躍する機会が増えてきた理由については、引き続き考えていく必要がありそうです。
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アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 シニアコンサルタント
1967年千葉県生まれ 法政大学法学部政治学科卒 1996年(株)インプレス入社。ネット広告事業の立ち上げを担当 2002年(株)カレン入社。広報を担当しながら2004年春から企業のブログ活用について啓発活動を展開。 同年秋から味の素など大手企業のブログ案件プロデュースを開始、数多くの企画を手掛ける。 2007年よりJR東海新幹線ブロガー企画などブロガーイベントのプロデュースも担当。 2010年4月より(株)ニューズ・ツー・ユーに勤務。ネットPRの商品開発、顧客向けイベントなどを担当 2013年7月1日アジャイルメディア・ネットワークに入社。改めて、ソーシャルメディアに挑戦する。 著書 『ビジネス・ブログ・ブック』(共著 2005) 『図解 ブログ・マーケティング (翔泳社・図解シリーズ)』(2005) インターネット白書2007に『ブログマーケティング』について執筆。 他執筆・講演多数。 AMNパートナーブロガーとして 裏[4k] を運営。 また趣味としてソーシャルメディアと連動する落語会『シェアする落語』を主催している。