商品選択に失敗したくないのは誰もが同じ。B2Bアンバサダーの3つの特徴〜書籍『アンバサダー・マーケティング』より 第37回
アンバサダーの基本的なルールはB2BでもB2Cでも同じでなんですね。つまり商品やブランドに好ましい経験をした人は、それを周囲に、伝えてくれます。B2B(企業間取引)に関わっている人も、そうでない人も、どうぞお気軽にお読みください!
■︎B2Bアンバサダーの3つの特徴。
購入に失敗したくない企業の購買担当者にとってクチコミは、商品やサービスを購入するかどうかを決める重要な手掛かりになります。
またさんざん迷い、比較検討の末に購入し、その結果、満足感を抱いた企業の購買担当者は、自分の経験を業界内の他の購買担当者に向けて伝えたいと思うものです。
アンバサダーの基本的なルールはB2BでもB2Cでも同じですが、それでもコンシューマーとB2Bの市場環境には、いくつか重要な違いもあります。それらの違いを知ったうえで、アンバサダーのクチコミを促進させることが重要です。
①モチベーションの違い
消費者がブランドを薦める理由で最も多いのは、他の人の役に立ちたいから、というものであることが、様々な研究で明らかになっています。一方、B2Bアンバサダーの場合、自分の会社の成功や生産性の向上を願う気持ちから、特定の企業や商品を薦めることもあるかも知れません。
②熱意の違い
B2Bの購買担当者は、アンバサダーも含めてコンシューマー分野のアンバサダーほど、商品やサービスに対して“熱く”ならない。たとえば工業用冷暖房設備について、それほど強い関心があるという人はあまりいないでしょう(故障した時は別ですが)。
とはいえB2Bの購買担当者にとって、他のビジネスマンからの推薦は非常に重みがあるはずです。すでに使用している人の声は、実感がこもっている分だけ、参考になるからです。
③数は少なめ
全体的に、法人市場を対象とする企業は、消費者市場の企業と比べてアンバサダーの数は少ないと思われます。
そもそもB2Bの顧客数は、B2Bより少ないからです。またB2Bの顧客に占めるアンバサダーの割合はB2Cのクチコミに加えて少ないはずです。ただ例外もあります。ズーベランスが調査したB2B購買担当者のうち、ほぼ半数が、アンバサダーだったそうです。あるIT関連機器の企業は、なんと顧客のほぼ半数がアンバサダーだったそうです。
あるIT企業の販売会社の場合、顧客の81% はその企業を周囲に薦める可能性がきわめて高かったという調査結果も出たそうです。この企業の顧客数は数千社にのぼそうです。自社にアンバサダーがいるかどうかの状況を知るには、やはり薦めてくれる意思があるかを顧客に直接聞くしかありませんし、聞いてみたほうがいいというわけです。
一般消費者向けだけでなく、B2Bアンバサダーは確実にいます。
購入を失敗したくないと思う人がいる限り、また、誰かの購入を助けたいと思う人がいる限りクチコミは効果があります。
人は誰でも商品やサービスの選択に失敗したくないので、自分の体験を共有したいと思う気持ちが働くのですね。
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藤崎実 アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 クリエイティブディレクター
(プロフィール) 博報堂、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODOでの仕事を経て、アシャイルメディア・ネットワーク勤務。AMN コミュニケーションラボ主宰。多摩美術大学、日大商学部 非常勤講師 ◎日本広告学会クリエーティブ委員、産業界 評議員 ◎日本マーケティング学会/日本広報学会会員 ◎WOMマーケティング協議会 理事/事例共有委員会委員◎東京コピーライターズクラブ会員 ◎青山学院大学、学習院大学 非常勤講師【受賞歴】カンヌライオンズ、OneShow、クリオ賞、NYフェスティバル、reddotデザイン賞、iFコミュニケーションデザイン賞、クリエイターオブザイヤー、Webクリエーション・アウォード、東京インタラクティフブアドアワード、ACC賞、電通賞など多数。