監修者が語る、書籍「アンバサダー・マーケティング」 (第5回)情報爆発とアンバサダー

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好評発売中の書籍『アンバサダー・マーケテイング』を監修した藤崎実です。今回は少しジャーナリスティックな視点から、情報とアンバサダーの関係についてお話します。

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■増え続ける情報の時代。

「情報爆発」というコトバがあります。ITの進化とともに情報量は世界中で飛躍的に増大しましたが、その膨大なデータによる影響を表現した言葉です。

私たちはすでにこの情報爆発の中で暮らしているわけですが、ではここでいう情報量とはいったいどのくらい増えているのか。その総量の推移はITの進化前に比べてどのくらいになるのか。

比較的よく引用されるデータに、総務省情報通信政策局が発表した「平成18年度 情報流通センサス報告書」があります。これは1996年から2006年にかけて生活者が選択可能な情報量と消費可能な情報量の推移を示したものですが、これによると過去10年で消費可能情報量が33倍になったのに対して、選択可能情報量は何と532倍(!)になったということがわかります。

さらに現在は、この調査対象の2006年当時に比べてTwitterやFacebookの普及や、LINEなど新しいメディアの登場もあり、個人による情報発信が飛躍的に増加しているのは間違いありません。

まさに増え続ける情報に対して、処理不能の時代になったと言えます。ただし、ここで注意が必要なのは532倍という数字です。これは主にインターネット上の情報だということです。つまり「情報爆発の時代」という状況は、実はインターネットを使わない人には無縁の時代性というわけです(笑)

ということは逆にいえば、インターネットを使う人ほど、この状況が強く当てはまるということです。どんどんふくれあがる情報爆発の中で、どう情報と向き合うかがますます課題になってくるでしょう。

参考までにご紹介すると、総務省情報通信政策研究所は、過去30年間にわたって国内の情報流通量を計量し、上記のデータ「情報流通センサス」を発表してきました。
しかしメディアやインターネットなどによる環境変化に対応して、情報流通センサスの計量対象メディアや計量数値を見直す必要から、2009年1月から新たな研究会を始めました。
そして新たな情報流通量指標として「情報流通インデックス」を作成。現在は2011年8月に発表されたものが最新となっています。

■情報のソムリエ

ご存知、ソムリエとは、ワインについての高い専門知識を持ち、レストランやホテルでお客さまの相談に応じてワインを選定する専門職のことです。
実際にワインの知識がないまま、数えきれないほどのワインから、自分の好みに合ったお気に入りの一本を探しだすのは至難の技です。そこでソムリエに相談するわけですが、アンバサダーのオススメというのは、ある意味、個人の処理能力を越えた膨大な情報の中から、ソムリエが探し出してくれる至極の一本に近い意味を持つと考えられます。

数ある商品やサービスからどれがいいか迷っている時に、ファンによる強いオススメは本当に参考になります。
「数あるブランドから私が推奨するのはこれです。私にとってのブランドはまさにこれなんです。なぜなら、こんな所が他社と比べて優れているからです。それは・・・」という、自らの信頼と引き換えにおこなう推奨行為は、本当に価値あるものだと言えるでしょう。

なお言うまでもないことですが、実際のソムリエとの最大の違いは、実際のソムリエは数あるワインの中から、その都度、最適な一本を選んでくれるのに対して、アンバサダーはひとり一本のオススメのワインが決まっているという点です。もちろんその一本は、数多のワインから選びに選び抜いた、最上の一本というわけですが。

あれ、でもこれでは、ワインの数だけ強い推奨があるので、選択の苦労は同じですかね?(笑)

監修者:藤崎実 アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 クリエイティブディレクター
(プロフィール) 博報堂、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODOでの仕事を経て、アシャイルメディア・ネットワーク勤務。クリエイティブディレクター。AMN コミュニケーションラボ主宰。日本広告学会クリエーティブ委員、WOM マーケティング協議会理事、東京コピーライタースズクラブ会員。青山学院大学(2012)、学習院大学(2013〜)非常勤講師。カンヌライオンズ、OneShow、クリオ賞、NYフェスティバル、reddotデザイン賞、iFコミュニケーションデザイン賞、クリエイターオブザイヤー、Webクリエーション・アウォード、東京インタラクティフブアドアワード、ACC賞、電通賞など受賞多数。

 

アンバサダー・マーケティング
ロブ・フュジェッタ
日経BP社

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藤崎 実
藤崎 実
藤崎実 アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 クリエイティブディレクター
(プロフィール) 博報堂、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODOでの仕事を経て、アシャイルメディア・ネットワーク勤務。AMN コミュニケーションラボ主宰。多摩美術大学、日大商学部 非常勤講師 ◎日本広告学会クリエーティブ委員、産業界 評議員 ◎日本マーケティング学会/日本広報学会会員 ◎WOMマーケティング協議会 理事/事例共有委員会委員◎東京コピーライターズクラブ会員 ◎青山学院大学、学習院大学 非常勤講師【受賞歴】カンヌライオンズ、OneShow、クリオ賞、NYフェスティバル、reddotデザイン賞、iFコミュニケーションデザイン賞、クリエイターオブザイヤー、Webクリエーション・アウォード、東京インタラクティフブアドアワード、ACC賞、電通賞など多数。
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2013年12月19日


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