アンバサダーの体験談は最高の営業ツール。しかも社内のモチベーションアップに直結。〜書籍『アンバサダー・マーケティング』より 第34回

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前回に引き続きバーティカル・レスポンス社の事例です。今、注目されているB2B分野です。業界に関わらずヒント満載ですので、ぜひとも参考にしてください。

アンバサダー藤崎実34

■︎アンバサダーの体験談は最高の営業ツール!

バーティカル・レスポンス社は、アンバサダーに利用の体験談を積極的に書いてもらい、シェアしてもらえるように呼びかけてきたそうですが、反応は上々だそうです。今までアンバサダーが書いた体験談は1700件に上るそうです。

前回の連載でもお伝えした通り、バーティカル社の売り上げは、もともと約50%がクチコミによってもたらされたものでした。そのクチコミの質と総量をあげたのですから、その効果が飛躍的に伸びたのは想像に難くありません。

事実、アンバサダーが書いた説得力のある本物のコンテンツによって、バーティカル社は企業の信頼性を高め、売り上げを伸ばすことに活用し、実績を上げているそうです。現在は、ユーザーによるレビューが商品購入の大きな動機になる時代ですので、このようにアンバサダーが作ってくれた体験談は最高の営業ツールになり得るというわけです。

またその体験談をつぶさに見ていけば、前々回の連載でもお伝えした通り、「貴重な顧客の意見も得る」こともできます。そこには企業や商品・サービスを愛するアンバサダーならではの、苦言などもあるかも知れません。いわゆる「傾聴」といわれる分野です。そうした声に素直に耳を傾けることはとても重要なマーケティングだと思います。

■︎体験談はモチベーションアップに結びつく!

バーティカル・レスポンスの創業者兼CEOのポピックは、従業員にもアンバサダーの体験談を読ませ、社内の士気を高めているそうです。またポピック自身もアンバサダーのコンテンツを読むと、前向きな気持ちになるということです。

「落ち込んだ時にはアンバサダーの体験談を読むの。いつもすっきりするわ」

確かに自社のマーケティングを考える場合、時として本当にこれでいいのだろうか、と疑心暗鬼になる場合もあると思います。そんな時、今まで自分たちが行ってきたことを振り返り、再確認するのに、アンバサダーの声に耳を傾けるというのは、有意義なのではないでしょうか。そして改善すべきは改善し、自信を持つべきところは自信を持ってよいのではないでしょうか。

その意味で、アンバサダーの声を従業員がキチンと知ることは、何にも代え難い社員教育コンテンツなのかもしれません。

■アンバサダーの育成はマラソン

あなたの会社がユーザーの立場に立った、ユーザー視点の製品づくりや、サービスの開発、さまざまな運営を心がけてきたならば、その企業姿勢はきっとユーザーやアンバサダーにはきちんと伝わっているはずです。そしてそれを今度はアンバサダーが体験談として投稿してくれる、という構造です。ユーザー視点でおこなってきた企業姿勢や企業努力は必ず評価されます。

バーティカル・レスポンスは今後、アンバサダー・プログラムをさらに充実させる方針だそうです。アンバサダーに企業そのものや商品を採点・評価してもらったり、ソーシャル・メディアを通じてプロモーション情報やコンテンツをシェアしてもらったりする予定だそうです。

「アンバサダーの育成は短距離走ではなく、マラソンだと思う。何年にもわたって経営にもプラスに影響がでるはず」「クチコミマーケティングの活用はこれからが本番」とポピックは語ります。

■︎究極の質問の活用

バーティカル・レスポンス社が顧客に「究極の質問」を投げかけるのは、ポピックがかねてからネット・プロモーター・スコア(NPS)を重視してきたからだそうです。

顧客がバーティカル社を周囲にどのように薦めているかを測り。モニタリングしたいと考えているからだそうで、今ではNPSの追跡を続けながら、アンバサダーをーマーケティング戦力として活用しているそうです。NPSは今や無視できない調査ですね。

Author Profile

藤崎 実
藤崎 実
藤崎実 アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 クリエイティブディレクター
(プロフィール) 博報堂、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODOでの仕事を経て、アシャイルメディア・ネットワーク勤務。AMN コミュニケーションラボ主宰。多摩美術大学、日大商学部 非常勤講師 ◎日本広告学会クリエーティブ委員、産業界 評議員 ◎日本マーケティング学会/日本広報学会会員 ◎WOMマーケティング協議会 理事/事例共有委員会委員◎東京コピーライターズクラブ会員 ◎青山学院大学、学習院大学 非常勤講師【受賞歴】カンヌライオンズ、OneShow、クリオ賞、NYフェスティバル、reddotデザイン賞、iFコミュニケーションデザイン賞、クリエイターオブザイヤー、Webクリエーション・アウォード、東京インタラクティフブアドアワード、ACC賞、電通賞など多数。
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2015年8月19日


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