自動車などの高額商品に貢献するアンバサダーの事例(2)体験談を信頼感に〜書籍『アンバサダー・マーケティング』より 第25回

Pocket

前回は自動車といった高額商品ほど、アンバサダーの影響が大きいことをお話ししました。今回はその続きです。今までレストラン病院フィットネスクラブソフトウエアと、各業界の事例を連載してきましたが、今回もヒントが満載ですので他業界の方もぜひお読みください!

アンバサダーマーケティング藤崎実25

■GMCはクチコミを味方に!

ゼネラルモーターズ(GM)グループとして、主に北米向けのSUV、トラック、ライトバンなどを生産している自動車メーカーのGMCは、2011年末、アンバサダーを発掘・活性化するために半年間の試験プログラムを実施しました。

その試験プログラムを通じてGMCは熱狂的なアンバサダーを見つけることに成功しました。さらにアンバサダーに好意的なクチコミを広げてもらう機会をつくることで、アンバサダーをさらに活動的にして価値の高いコンテンツを生みだすことに成功したそうです。
これはアンバサダーを発見して強力なプロモーションにつなげた好例と言えます。以下はその概要です。

■アンバサダーを見つけよう!

GMCにはクロスオーバー車の「アカディア」、大型SUVの「ユーコンデナリ」、小型SUV「テライン」、ピックアップトラックシリーズの「シエラ」などの人気車種があり、GMC車が大好きというオーナーが多いそうです。そこでGMC好きの熱いアンバサアダーに声をあげてもらうことにしたそうです。

このように、そもそもファンが多いという事実は、アンバサダーを探す上で大変重要なポイントです。もちろん熱烈なファンが顕在化していればベストですが、それほど顕在化していない商品であっても何らかのこだわりがあって生まれてきた商品であれば、良き理解者が存在しているものです。その良き理解者、自社のファンを見つけだして手を握るのです。このようにアンバサダー・マーケティングとはファンとの関係を構築する直球のマーケティングといえます。

アンバサダーを見つける方法は、驚くほど簡単なものでした。「友人にGMCを強く薦めますか?」という顧客ロイヤルティを測る「究極の質問」を投げかけ、アンバサアダーを特定したのです。さらに答えとオーナーの車種や製造月を簡単に結びつけられるようにして、同時に回答者のフルネームとメールアドレスも入手できるようにしたそうです。

GMCは「究極の質問」を、フェイスブック・ページに掲載したほか、オプトイン方式のメーリングリストでも送付しました。これらを通じて、約2万5千人のアンバサアダーを見つけることができたそうです。

■アンバサダーを活性化しよう!

アンバサダーと判別された人に対してGMCは、すぐにオーナーとしての体験談を書く機会を提供しました。そしてGMCとの個人的なエピソードをネット上に投稿し、シェアしてもらえるように呼びかけたそうです。

この試験プログラムが始まって、わずか3時間でアンバサダーから寄せられた好意的な体験談は300を超え、やがて3000件に達しました。
続いてアンバサダーにアプリに搭載された共有ツールを使ってフェイスブックやツイッター、メールでも体験談をシェアしてもらうように呼びかけたそうです。その結果、アンバサダーの20%が、フェイスブックやツイッターなどで自分の体験談をシェアしたので、GMCは彼らの友人数千人に対して信頼度の高い有益なメッセージを届けることができました。

なお体験談を書いたGMCアンバサダーは平均2つのチャネル(SNSとメールなど)でそれをシェアしており、シェア1回あたり、1.2件のインバウンドクリックが発生しており、レスポンス率は120%だったそうです。

GMCはアンバサダーの体験記を、自社のフェイスブック・ページにも掲載しました。数千人の熱狂的なオーナーの体験談が、GMCへの信頼感を醸成し、購入検討者の関心を高めるのに役立ったのは間違いないでしょう。

いかがでしょうか。アンバサダーとの交流は実はとても簡単だということがわかります。次回は、アンバサダーを活用したフォードの事例についてお伝えします。お楽しみに!

 

アンバサダー・マーケティング
ロブ・フュジェッタ
日経BP社

Author Profile

藤崎 実
藤崎 実
藤崎実 アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 クリエイティブディレクター
(プロフィール) 博報堂、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODOでの仕事を経て、アシャイルメディア・ネットワーク勤務。AMN コミュニケーションラボ主宰。多摩美術大学、日大商学部 非常勤講師 ◎日本広告学会クリエーティブ委員、産業界 評議員 ◎日本マーケティング学会/日本広報学会会員 ◎WOMマーケティング協議会 理事/事例共有委員会委員◎東京コピーライターズクラブ会員 ◎青山学院大学、学習院大学 非常勤講師【受賞歴】カンヌライオンズ、OneShow、クリオ賞、NYフェスティバル、reddotデザイン賞、iFコミュニケーションデザイン賞、クリエイターオブザイヤー、Webクリエーション・アウォード、東京インタラクティフブアドアワード、ACC賞、電通賞など多数。
Pocket

藤崎 実 藤崎 実 • 2015年2月9日


Previous Post

Next Post