高額商品、例えば自動車販売に大きく貢献するアンバサダーの事例(1)〜書籍『アンバサダー・マーケティング』より 第24回

Pocket

今回は自動車の事例です。今までレストラン病院フィットネスクラブソフトウエアに続き、ここにも応用できる多くのヒントがあると思いますので、他業界の方もぜひお読みください!

アンバサダーマーケティング藤崎実24

■クチコミは伝統的な広告より信頼度が高い!

自動車メーカーは派手なテレビ広告の多額の費用をかけます。
「しかし、アンバサダーのオススメにはテレビ広告、新聞広告、屋外看板その他のあらゆる広告形態をはるかに超える影響力がある」と、本書は言い切ります。

ある市場調査によれば、ネットユーザーの71%は自動車を購入するとき、友人や家族の意見を信頼するそうです。女性の場合、クチコミを重視するのは56%と、情報源の中で二番目に多く、テレビ広告はわずかに16%だそうです。購入に影響を与える要因としてクチコミを挙げた人は62%と二番目に多いそうです。

女性誌を発行するメディア会社ブログハーの調査では、女性の場合、購入に影響を与える主な要因10項目のうち、テレビ広告は8番目、メーカーのウェブサイトは最下位の34%だったそうです。(Put her in the driver’s seat: social tools inform and empower women’s car-buying process, blogher, october 25, 2011)

「クチコミは伝統的な広告より信頼度が高い」
この章のタイトルでもあるこの言葉は、フォードのグローバル・マーケティング責任者ジム・ファーリーはエコノミスト誌の取材からの引用です。好意的なレビューは購入を後押しし、逆に否定的なレビューは買い手の意欲に水を差します。つまりクルマ選びには、ネットの評価やレビューやブログやフォーラムやコミュニティへの消費者の投稿などが多大な影響を及ぼすというわけです。

本書では、テキサス州ヒューストンの自動車ディーラー、ジョン・イーグル社のインタラクティブ・セールスマーケティングのディレクターであるジム・フリントは、グーグルによる自動車ディーラーの格付けはとにかく影響力が大きいと、次にように述べています。「自動車を購入する人々にとってクチコミはもともと影響力が大きかったが、グーグルのネットレビューはそれを格段に大きくした」

■自動車メーカーから見たアンバサダーの最大のメリット

アンバサダーを強力なマーケティング戦力に変えることで、自動車メーカーは大きなメリットを手にすることができるというわけです。本書では以下の項目が挙げられています。しかしこれらのメリットは特に自動車メーカーに限らないものでしょう。これらのアンバサダーがもたらす価値は高額商品であればあるほど、生活者により影響力をを発揮すると思われます。

【自動車メーカーにアンバサダーがもたらしてくれるメリット】

・主要自動車サイトでの評価を高めてくれる。
・否定的なクチコミに対抗できる
・ブランドと消費者の結びつきを強めることができる。
・従来のマーケティングの数分の一のコストで、信頼性のある適切なメッセージ生活者に届けることができる。
・クチコミによる紹介客、トラフィック、売上高を増やすことができる。

2011年末、ゼネラルモーターズ(GM)グループのGMCは、アンバサダーを発掘・活性化するために半年間の試験プログラムを実施しました。このプログラムを通じて、熱狂的なアンバサダーを見つけることが好意的なクチコミを広げ、さらにはアンバサダーを活活動的にして価値の高いコンテンツを生みだす強力な手段となることが証明されました。次回は、その施策についてお伝えります。お楽しみに。

 

アンバサダー・マーケティング
ロブ・フュジェッタ
日経BP社

Author Profile

藤崎 実
藤崎 実
藤崎実 アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 クリエイティブディレクター
(プロフィール) 博報堂、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODOでの仕事を経て、アシャイルメディア・ネットワーク勤務。AMN コミュニケーションラボ主宰。多摩美術大学、日大商学部 非常勤講師 ◎日本広告学会クリエーティブ委員、産業界 評議員 ◎日本マーケティング学会/日本広報学会会員 ◎WOMマーケティング協議会 理事/事例共有委員会委員◎東京コピーライターズクラブ会員 ◎青山学院大学、学習院大学 非常勤講師【受賞歴】カンヌライオンズ、OneShow、クリオ賞、NYフェスティバル、reddotデザイン賞、iFコミュニケーションデザイン賞、クリエイターオブザイヤー、Webクリエーション・アウォード、東京インタラクティフブアドアワード、ACC賞、電通賞など多数。
Pocket

2015年1月13日


Previous Post

Next Post