ソフトウエア販売から学ぶアンバサダーマーケティング7つのメリット 事例〜書籍『アンバサダー・マーケティング』より 第23回

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藤崎実です。

レストラン病院フィットネスクラブの次は、ソフトウエアの販売会社のお話です。

いつものように、他業界の方でも参考になる視点があります。ぜひお読みくださいね。

アンバサダーマーケティング藤崎実23

 ■ソストウエア業界におけるクチコミの威力は圧倒的!

本書『アンバサダー・マーケティング』によれば、ソフトウエア会社は通常、リスティング広告、メールを使ったマーケティング、バナー広告、イベント、PRなどの手法に何十億ドルもの資金を投じるが、結局のところ、ネット上のユーザーによる評価やレビューを含めた「クチコミ」ほど、数百万人の消費者の意思決定に影響を持つものはないそうです。

会計ソフトの世界的最大手・インテュイットCEOのブラッド・スミス氏によると、同社の収益の80%、金額にして27億ドルは、何とクチコミに起因しているそうです。このことからもわかるように、今アメリカのソフトウエア業界ではインテュイットだけでなく、クチコミを活用する企業が急激に増えてきているそうです。

一方、法人顧客である中小企業のオーナーに目を移すと、ソフトウエアや商品の購入において、中小企業のオーナーはネットのレビューを参考にしているという調査結果があるそうす。

インテュイットの元シニア・マーケティング・マネージャーで、現在は中小企業向けの会計ソフト会社のバイスプレジデントを務めるローラ・メッサーシュミットは次のように語っています。

「中小企業オーナーはレビューを積極的に、しかも非常に熱心に読んでいる。彼らの目にするレビューが好意的か否かで、売り上げは17%も変化する可能性があり、それはインテュイットの場合、数百万ドルになる」

インテュイットをはじめとするソフトウエア業界でのアンバサダー・プログラムは、驚くほど基本に忠実です。つまり、満足度の高い顧客(すなわちアンバサダー)を発掘し、さまざまな刺激を与え、リレーションをとっていくことで、企業やブランド、商品をオンライン、オフラインを問わずさまざまな場で他の人々におススメしてもらおうというものです。

この黄金の方程式は例えカタチが同じでも、その内容は各企業やブランドによって違ってきますので、それぞれのオリジナリティが出せるということで、とても有効な方程式だと思います。

■費用対効果を意識して、アンバサダーに協力を要請する

ソフトウエア会社にとって、アンバサダーをマーケティング戦力に変える費用対効果もきわめて高いことが明らかになってきたそうです。本書では、従来型のマーケティングと比較した大きなメリットとして、次のことが挙げられています。

①ネット上の評価を高め、アマゾン・ドット・コム、CNET、ベストバイ・ドット・コムなどソフトウエアを扱うウェブサイト上の否定的なクチコミに対抗できる。

②クチコミによる紹介客、クリック数、売上高を大幅に

③ブランドと顧客のエンゲージメントを強められる。

④ツイッター、リンクトイン、フェイスブックなどのソーシャル・メディアへの投資効果を高められる。

⑤既存商品と開発中の商品について貴重なフィードバックを得られる。

⑥顧客サービスやサポート体制をアピールできる。

⑦新商品の認知度や需要を高められる。

■ソフトウエア分野でアンバサダー・マーケティングが有効な理由

①研究では、クチコミによる推奨がソフトウエア業界で最も重要な売上推進要因であるとわかっている

②アマゾン・ドット・コム、CNET、ベストバイ・ドット・コムなどの、ウェブサイト上のソフトウエアに関するユーザーの評価やレビューは、購入決定にきわめて重要な役割を果たす

③ソフトウエアの購入予定者と利用者は、どの商品を購入すべきかを活発に議論する。ある市場調査によると、ソフトウエアは消費者がウェブを使って最も活発に意見交換する商品カテゴリーの第3位とのこと。

④多くのソフトウエア会社には、商品をおススメしょうという意欲を持った熱狂的なユーザーが何千人もいる。これは大規模なそしてきわめて影響力の大きなマーケティング戦力となる

⑤アンバサダー・マーケティングは、他のマーケティング・ツールの効果を高める。例えば、アンバサダーの作成したコンテンツを使うと、メールを使ったマーケティングによるコンバージョン率や、ウェブサイトへのエンゲージメント率を高めたり、ランディング・ページへのトラフィックを増やしたりするのに効果がある。

以上が、ソフトウエア業界におけるアンバサダーの貢献ですが、いかがでしょうか。これはソフトウエア業界だけではなく、他業種でも十分に同様の効果が期待できるのではないでしょうか。

Author Profile

藤崎 実
藤崎 実
藤崎実 アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 クリエイティブディレクター
(プロフィール) 博報堂、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODOでの仕事を経て、アシャイルメディア・ネットワーク勤務。AMN コミュニケーションラボ主宰。多摩美術大学、日大商学部 非常勤講師 ◎日本広告学会クリエーティブ委員、産業界 評議員 ◎日本マーケティング学会/日本広報学会会員 ◎WOMマーケティング協議会 理事/事例共有委員会委員◎東京コピーライターズクラブ会員 ◎青山学院大学、学習院大学 非常勤講師【受賞歴】カンヌライオンズ、OneShow、クリオ賞、NYフェスティバル、reddotデザイン賞、iFコミュニケーションデザイン賞、クリエイターオブザイヤー、Webクリエーション・アウォード、東京インタラクティフブアドアワード、ACC賞、電通賞など多数。
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2014年11月28日


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