監修者が語る、書籍「アンバサダー・マーケティング」 (第15回) アンバサダーの価値の評価方法

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書籍『アンバサダー・マーケテイング』を監修した藤崎実です。
そもそもアンバサダーにはどれだけの価値があるのか。本書ではブランドや商品の味方として誰よりも信頼でき、さらに他の顧客の購買行動に影響を与えるアンバサダーこそが、最も価値の高い顧客だと論じており、今回はその一部をご紹介します。

■個人としてのアンバサダーがもたらす価値が大切

本書によるとアンバサダーは一般の顧客に比べて、はるかに高い価値があるそうです。つまりアンバサダーは、平均的な顧客以上の金額を使って商品を購入してくれるばかりでなく、ブランドや商品を擁護してくれ、さらに見込み客へ商品やブランドをおススメしてくれるからだと続きます。

ここで著者は、「おススメ(推奨)が全体として企業にもたらす価値」というざっくりしたものではなく、「個人としてのアンバサダーがもたらす価値」に着目して欲しい、そこが重要なのだと述べています。そして個人としてのアンバサダーの実質的な価値を測る方法はいくかあると紹介されています。

■アンバサダーの実質的な価値を測る方法

本書で紹介されている方法をいくつか抜き出すと以下になります。
①紹介した顧客の人数を根拠に、アンバサダーの価値を測るという方法。この場合は、ひとりの紹介客が企業にどれだけの価値をもたらすかに基づいて、アンバサダーの価値を決めればいいそうです。
②アンバサダーの紹介が何件の販売につながったかを測定する方法。
この場合は、いわゆる顧客生涯価値に基づいて、企業に対するアンバサダーの価値を測ることができるそうです。

③ネット世界での評価を改善したいなら、肯定的なおススメに一定の評価額を設定し、何回、ブランドやサービスをおススメしたかに応じて、個々のアンバサダーの価値を測るのもよいだろうと紹介されています。

■アンバサダーの価値を評価する

アンバサダーの価値を評価する論理的な方法としては「①アンバサダー自身の支出額を評価し、②それに推奨の価値の総額を足し合わせる」という方法(※)も紹介されています。これを詳しく解説すると以下になります。

(※)これは「Answering the Ultimate Question」(オーウェン&ブルックス共著)という本で紹介されている計算方法だそうですが、残念ながら未邦訳となっています。

①支出額— アンバサダーが企業やブランドと取引する全期間を通じて、商品やサービスに投じる金額。
こちらは、経営コンサルティング会社デトロイトなどの調査によると、多くの企業ではアンバサダーの支出額は平均顧客の少なくとも2倍に達するそうです。もっと高い数値を発表している企業もありますが、筆者は控えめな評価として、アンバサダーの支出額を平均顧客の少なくとも2倍とするデトロイトの調査を参考としているようです。

②推奨の価値— アンバサダーがおススメによってもたらす営業上およびマーケティング上の価値を指す。ここに含まれるのは、肯定的な評価やレビューや個人的な体験談、潜在顧客への回答、フェイスブック、Twitter、ブログ、オンラインフォームなどの熱狂的なコメント、プロモーション情報のシェアなどから構成されます。

本書によると、この2つの項目を足し合わせるとアンバサダーの価値が評価できるそうです。もちろん平均的な顧客と比べて数倍の価値があるとのことが述べられています。

もっとたくさんの事例もありますが、アンバサダーは他の顧客の購買行動に大きな影響を与える、という点で従来の得意客とは全く違う価値を持っていると言えます。

そう言えば、私も人からのおススメを重視しますし、私自身も人から聞かれたら私のおススメを熱く語ってしまいます。人はそう言った商品やブランドをいくつか持っているのではないでしょうか。

詳しくは、ぜひとも本書を手に取って頂きたいと思います。

監修者:藤崎実 アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 クリエイティブディレクター
(プロフィール) 博報堂、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODOでの仕事を経て、アシャイルメディア・ネットワーク勤務。クリエイティブディレクター。AMN コミュニケーションラボ主宰。日本広告学会クリエーティブ委員、WOM マーケティング協議会理事、東京コピーライタースズクラブ会員。青山学院大学(2012)、学習院大学(2013〜)非常勤講師。カンヌライオンズ、OneShow、クリオ賞、NYフェスティバル、reddotデザイン賞、iFコミュニケーションデザイン賞、クリエイターオブザイヤー、Webクリエーション・アウォード、東京インタラクティフブアドアワード、ACC賞、電通賞など受賞多数。

アンバサダー・マーケティング
ロブ・フュジェッタ
日経BP社

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藤崎 実
藤崎 実
藤崎実 アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 クリエイティブディレクター
(プロフィール) 博報堂、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODOでの仕事を経て、アシャイルメディア・ネットワーク勤務。AMN コミュニケーションラボ主宰。多摩美術大学、日大商学部 非常勤講師 ◎日本広告学会クリエーティブ委員、産業界 評議員 ◎日本マーケティング学会/日本広報学会会員 ◎WOMマーケティング協議会 理事/事例共有委員会委員◎東京コピーライターズクラブ会員 ◎青山学院大学、学習院大学 非常勤講師【受賞歴】カンヌライオンズ、OneShow、クリオ賞、NYフェスティバル、reddotデザイン賞、iFコミュニケーションデザイン賞、クリエイターオブザイヤー、Webクリエーション・アウォード、東京インタラクティフブアドアワード、ACC賞、電通賞など多数。
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2014年6月5日


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