アンバサダーサミット2014レポート(5)パネルディスカッション2 『O2O(オンライン・ツー・オフライン)におけるアンバサダーの可能性と課題』

Pocket

編集長の四家です。アンバサダーサミット2014のご報告、5回目です。
(レポート4はこちらです)

続いてのセッション2は、顧客との直接接触がある店舗や窓口を持つ企業ご担当者による『O2O(オンライン・ツー・オフライン)におけるアンバサダーの可能性と課題』。

パネリストとしてご登壇いただきましたのは、
干場香名女氏 日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社 KFCマーケティンググループ DIGITAL・CRM推進室 室長
洞本宗和氏 株式会社大丸松坂屋百貨店 本社 営業本部 営業企画室 販売促進部 デジタル販促担当
前田欣伸氏 全日本空輸株式会社 マーケティング室 マーケットコミュニケーション部 主席部員

のお三方です。

(干場氏)
(洞本氏)
(前田氏)

Photo by koyama

日本での企業Facebook展開の先駆者である全日空・前田氏は、

「予約の7割がネット経由となったいま、マスプモーションを縮小させていくなかでFacebookの活用に乗り出した。航空の利用頻度とブランドへの共感、どちらもまだ低い『将来の顧客」』にアプローチする手段として、また各層における利用モチベーションアップとファンのすそ野拡大のためにソーシャルメディアを活用している。
Facebookページは売上よりもブランド、クチコミで情報が拡散することを狙っているいいね数やコメント数、リーチ数など各パラメーターをきちんと検証し、さらに共感-リーチの関係を数値化している
Twitterはライトな情報を配信する顧客サポートと販売促進の両方で活用している。前者は主にリツイートやメンションを測定し、販促用ツイートはツイートごとにサイト誘導と売上高を測定している」と、ソーシャルメディアごとの特性に応じた測定法を提示されました。

可愛らしい「さくらパンダ」でおなじみ、大丸松坂屋百貨店・洞本氏は、
「来店売上との結びつきを証明できないのと、アカウントは各店舗が展開し規模が小さいため、クチコミキャンペーンは実施しない。
新規客を獲得するO2Oプラットフォームと連動する「ユーザーとの関係構築のメディア」としてソーシャルメディアを位置付けている。
 担当している「さくらパンダ」のFacebookページからは販促メッセージは送らない。エンゲージメント率は15%を超える。

LINEはリーチが取れるしスタンプでキャラクター展開ができる。またダイレクトにメッセージが送れるので来店促進に使いやすい。スタンプダウンロードは10代+F1で44%。実際の顧客は60代で高齢化が課題だったので成功。売上拡大にもつながったが、実際の来店は既存客7割、30代~50代が多く10代は少なかった。新規来店促進・若年層の難しさと、LINEの幅広い層への拡大を実感した。
様々な数字を検証されているが、百貨店のビジネス特性から他のプロモーションも効果測定をしていないので、社内報告が難しい。今回LINEで売上への影響を確認できたのは画期的」。とキャラクターを前面に出した展開についてご紹介されました。

I’m @ケンタッキーなど様々なソーシャルメディア施策で知られる日本ケンタッキー・フライド・チキン・干場氏は「昨年9月9日(カーネル・サンダースの誕生日)に『ケンタで大豪遊』を実施。Twitterのハッシュタグを活用し、20名1組の食べ放題を3組にプレゼント。送客・売上の測定が難しかったので、PONTAコネクトを活用した。利用者にとっては若干手間なのでインセンティブを増やした。結果は手応え感じられるものだったが、現時点ではPONTAコネクトの利用者がまだ少ないので、本当はもっと成果が出ていると思う。クーポンを活用した従来の測定をさらに進めた」とポイントカードを絡めた効果測定の手法をご提示。

モデレーター徳力からの「ソーシャルメディアによるユーザー間の会話から成果につながることがあると思われるか」との質問に対して、
干場氏は「昨年末デジタルガチャを使ったキャンペーンで158万回の利用があるなど盛り上がったが、ここで配布したクーポンはそれほど利用されていない。けれど、クーポンを使わずに利用した方も多く、売上に貢献したのではないかと思っている」。一方前田氏「オープンIDを活用し『それほど乗っていないけどつぶやきで貢献してくれる人』を探してアプローチしたいと考えている」と自説を展開。

洞本氏は「ソーシャルメディアを活用する中で、さまざまな数値がちょっとずつ成長している。またキャラクターに会いたいがために来店する人もいて、手ごたえは感じているが、社内説明が難しい」。また干場氏は「新商品情報を出したときの反応数を見るとその商品の「来ている」かどうか分かる。社内でもそのような声が聞こえる」と、先行指標としてのソーシャルメディアの価値について触れられました。

最後に、前田氏は「従来からのファンの声、暖かい言葉と辛らつなコメントを重視している」。洞本氏は「コアなファンからの情報拡散が重要で活性化していくと同時に、コアな方々のリテラシーを上げていただくことも大切」。干場氏は「昨年AMNの支援で開催した2回のファンミーティングで得られたものが多数あった。店舗など直接接触する場が大切」とそれぞれ指摘され、貴重な最新現場情報がギュッと詰まったセッションは終了しました。

IMG_1745-resized-600[1]

続きます。

Author Profile

四家 正紀
アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 シニアコンサルタント
1967年千葉県生まれ 法政大学法学部政治学科卒 1996年(株)インプレス入社。ネット広告事業の立ち上げを担当 2002年(株)カレン入社。広報を担当しながら2004年春から企業のブログ活用について啓発活動を展開。 同年秋から味の素など大手企業のブログ案件プロデュースを開始、数多くの企画を手掛ける。 2007年よりJR東海新幹線ブロガー企画などブロガーイベントのプロデュースも担当。 2010年4月より(株)ニューズ・ツー・ユーに勤務。ネットPRの商品開発、顧客向けイベントなどを担当 2013年7月1日アジャイルメディア・ネットワークに入社。改めて、ソーシャルメディアに挑戦する。 著書  『ビジネス・ブログ・ブック』(共著 2005) 『図解 ブログ・マーケティング (翔泳社・図解シリーズ)』(2005) インターネット白書2007に『ブログマーケティング』について執筆。 他執筆・講演多数。 AMNパートナーブロガーとして 裏[4k] を運営。 また趣味としてソーシャルメディアと連動する落語会『シェアする落語』を主催している。
Pocket

2014年3月5日


Previous Post

Next Post