監修者が語る、書籍「アンバサダー・マーケティング」 (第11回) アンバサダー・マーケティング成功の5つのカギ ②有能な管理者

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好評発売中の書籍『アンバサダー・マーケテイング』を監修した藤崎実です。

アンバサダー・マーケティング成功の5つのカギとは、「人」(①アンバサダー・マーケティングの旗振り役、②有能な管理者)、「プロセス」(③計画と④持続力)、「テクノロジー」(⑤アンバサダー・システム)です。今回は②の有能な管理者に焦点をあてます。

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■旗振り役のコンビとしての管理者

本書によればアンバサダー・マーケティングを成功させる2つめのカギは、有能な管理者の存在です。旗振り役がバットマンなら、管理者はさしずめ相棒のロビンとも。

管理者の役目は、社内外の人と協力しながら、アンバサダー・プログラムの立案、準備、実行を管理することですが、旗振り役と同じように管理者もアンバサダー・マーケティングの信奉者でなければならない、と力説されています。
そして何より大切なのは、実行力があることと指摘されています。旗振り役と管理者のすばらしいコンビも実例を用いて解説されています。

この管理者には通常、社内のマーケティング部門の人材が管理者となるようです。プロモーション、ブランド・マーケティング、顧客マーケティング、ソーシャル・メディア、コミュニティ、ロイヤリティ、PRなどの担当者が候補になることもあると紹介されています。

■リーダーはソーシャル・メディアのマネージャーが適任。

「こう考えると、ソーシャル・メディアのマネージャーがアンバサダー・マーケティングのリーダーになるのが妥協かも知れない」「ただ前提となるのは、その人物に見込み客や売り上げを増やす上で、おススメがどのような役割を果たしているかを理解していること」が大切であると指摘されています。

確かにそうですよね。新しいマーケティングに挑戦して道を切り開くためには旗振り役と同様の熱意が求められるのは当然でしょう。ここでも大切なのはファンによる推奨の力を信じて、プロジェクトを推進させていく信念のようなものだと思います。

■単に数だけを追うミッションには、ふさわしくない。

そしてさらに、この連載をお読みの企業担当者の方への貴重な情報(?)としては、以下の記述です。「ソーシャルメディア・マネージャーが、Twitter、フェイスブック、ブログなどの管理に追われ、「いいね!」やフォロワーの数、エンゲージメントの数値だけで評価が決まっているような場合は、アンバサダー・プログラムの管理者にふわさしくないかも知れない。」

これはいったいどういうことでしょうか。この内容を裏返すと、単にソーシャル・メディア上のファン数を増やすことだけをミッションとする企業文化には、アンバサダー・マーケティングは合わない/根付かないと言っているように読み取れます。アンバサダー・マーケティングで着目するファンは量と同様に質が大切だからです。とかく量や数に評価の基準がいきがちですが、アンバサダー・マーケティングでは、特に質に着目するのだと、繰り返し筆者は述べています。

■管理者は特定の個人こそ大事。

「外部のマーケティング会社やコンサルタントなど、一時的に会社に関与するだけの人材をアンバサダー・プログラムの管理者にするのもお勧めできない。フルタイムの正社員ほど会社やアンバサダーへの強い熱意がないケースが多いからだ。またマーケティング会社やコンサルタントとの契約期間が終了して彼らがいなくなると、アンバサダー・プログラムが勢いを失ってしまうことにもなりかねない。」と続きます。

「またアンバサダー・プログラムの管理者は、組織ではなく特定の個人を指名するのが好ましい。誰が窓口かはっきりしていると、管理やコミュニケーションが円滑になる。船頭が多すぎると船は進まない」とバッサリです(笑)

こうした指摘は、今までも現場レベルのお話として取り上げられてきました。実際に「中の人」と呼ばれ、ソーシャル・メディア上の窓口になっている人が特定されている企業も少なくありません。また海外では「コミュニティ・マネージャー」という職種も注目されています。

熱量の高いファンに着目するアンバサダー・マーケティングの実践は、実はそれを推進させていく人の熱量に負う所が大きい。これは大変おもしろいと思います。

マスメディアでは一方通行だった企業と生活者のコミュニケーションが、ソーシャメディアを介することで双方向にできるようになったが、しかし結局の所、コミュニケーションをおこなうのは、あくまで「人」であり、その管理も熱量を持つ「人」にしかできないということでしょう。
そう思うと、アンバサダー・マーケティングとは、ソーシャル・メディアという仕組みを介した「人と人」との熱きコミュニケーションなのではないかと思えてきます。

監修者:藤崎実 アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 クリエイティブディレクター
(プロフィール) 博報堂、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODOでの仕事を経て、アシャイルメディア・ネットワーク勤務。クリエイティブディレクター。AMN コミュニケーションラボ主宰。日本広告学会クリエーティブ委員、WOM マーケティング協議会理事、東京コピーライタースズクラブ会員。青山学院大学(2012)、学習院大学(2013〜)非常勤講師。カンヌライオンズ、OneShow、クリオ賞、NYフェスティバル、reddotデザイン賞、iFコミュニケーションデザイン賞、クリエイターオブザイヤー、Webクリエーション・アウォード、東京インタラクティフブアドアワード、ACC賞、電通賞など受賞多数。

 

アンバサダー・マーケティング
ロブ・フュジェッタ
日経BP社

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藤崎 実
藤崎 実
藤崎実 アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 クリエイティブディレクター
(プロフィール) 博報堂、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODOでの仕事を経て、アシャイルメディア・ネットワーク勤務。AMN コミュニケーションラボ主宰。多摩美術大学、日大商学部 非常勤講師 ◎日本広告学会クリエーティブ委員、産業界 評議員 ◎日本マーケティング学会/日本広報学会会員 ◎WOMマーケティング協議会 理事/事例共有委員会委員◎東京コピーライターズクラブ会員 ◎青山学院大学、学習院大学 非常勤講師【受賞歴】カンヌライオンズ、OneShow、クリオ賞、NYフェスティバル、reddotデザイン賞、iFコミュニケーションデザイン賞、クリエイターオブザイヤー、Webクリエーション・アウォード、東京インタラクティフブアドアワード、ACC賞、電通賞など多数。
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2014年3月24日


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