ファンやアンバサダーを重視した活動に取り組む企業が参考にすべき「8つの事例」

Pocket

advertimes_tokuriki_ogp
※このコラムは、宣伝会議Advertimesに寄稿したものの転載です。

このコラムでは「アンバサダー視点のススメ」というタイトルで、ファンやアンバサダーの視点でマーケティングを考える記事を投稿してきました。気がついたらコラム開始から一年以上が経過しました。

このコラムに対する皆さんのフィードバックを日々見ながら感じていたのが、そもそもファンやアンバサダーを重視する活動において、「どういった活動がシンボルとして捉えられているのだろうか」という疑問でした。
 
もちろん私や私が勤めるアジャイルメディア・ネットワークはファンやアンバサダーを重視したマーケティングやコミュニケーション活動を「アンバサダープログラム」と定義して、企業に提案している立場ですから、自分たちの取り組みが最先端であるべき会社ではあります。

ただ、実際には、ファンやアンバサダーを重視した活動というのは、私が今の会社に転職する前から、多くの企業で取り組まれてきた活動です。正直な話、ファンやアンバサダーとのコミュニケーションに本当の意味で長けているのは、何年もの間、自社のファンと向き合い続けている企業担当者の方々であることは間違いないと感じています。

私自身は、この領域で長くマニアックに活動してきた結果、日本中のファンやアンバサダーを重視した活動に挑戦されている方々と出会うことができました。そういう方々にいろいろと教えてもらい、それを発信する機会をもらっている結果、アドタイにアンバサダーをテーマにしたコラムを書かせてもらう幸運に恵まれているわけです。

それでも、ふと冷静に考えてみると、「日本におけるファンコミュニティやアンバサダープログラムの代表的な事例を教えてください」と言われると考え込んでしまう自分がいます。

これが広告であれば比較的、話は簡単です。カンヌライオンズをはじめ、広告を表彰する取り組みはたくさんありますから、そういった広告賞の受賞作品を紹介すれば、納得感は高いでしょう。

ただ、ファンやアンバサダーとのコミュニケーションを重視した活動を表彰する取り組みはほとんどありませんでした。

そんな問題意識で今回企画したのが「アンバサダープログラムアワード」です。

at08170005
このアワードでは、あえてオープンな投票企画をするのではなく、企業担当者の方々に推薦してもらい、さらに企業担当者にクローズドに投票してもらうという形式にこだわって企画をしました。

その結果選ばれたのが、こちらの8社の活動です。

花王「ピカ☆ママ コミュニティ」

カルビー「それいけ!じゃがり校」

キリン「カンパイ会議」

ソニーモバイルコミュニケーションズ「Xperiaアンバサダープログラム」

日本ケンタッキー・フライド・チキン「KFCアンバサダープログラム」

ネスレ日本「ネスカフェ アンバサダー」

パナソニック「CLUB Panasonic」

良品計画「くらしの良品研究所」

日本で多数のアンバサダープログラムが生まれている

ネットコミュニティやソーシャルメディアマーケティングの関係者であれば、馴染みの名前が多い結果と言えるかもしれません。

受賞企業は、それぞれ業態や業種も異なりますし、活動の目的も異なります。ただ、私の視点から明確に言えるのは、全ての活動が中長期の視点で行われていることです。

そもそも今回のアワードの目的が、広告ではなく既存ファンやアンバサダーとのコミュニケーションを重視している活動を表彰することですから、中長期の活動が選ばれるのはある意味当然とも言えますが。

通常の広告キャンペーンが一般的には数ヶ月から一年程度を軸に実施されるのに対し、ファンやアンバサダーとのコミュニケーションは長く取り組むことが軸となります。

もちろん、全ての活動が中長期的な継続を前提に開始したわけではないでしょうし、開始した当初から取り組み内容を大きく変えている活動も存在します。ただ、今回受賞された企業は、良い意味でも悪い意味でも「地道」な活動が多いのが率直な印象です。

個人的にも、昨年のワールドマーケティングサミットで、ドン・シュルツ教授が「顧客はキャンペーンの時だけ、その製品やサービスについて考えているのではないのだから、年間を通じてプランの投資対効果を考えなければならない」と問題提起されていたことが記憶に残っています。ある意味、今回受賞された活動の担当者の方々は、真摯にファンやアンバサダーと向き合うことの価値を感じつつ、試行錯誤されていると言えるでしょう。

参考:2016年の「広告効果測定」は、一つの施策ごとではなく全体で見てみませんか?

一方で、日本には今回受賞された8社以外にも、多数の「地道」な活動があることも、今回のアワードで確認できた事実です。

ノミネートリストしてリストアップされた活動は、アワードのサイトにも公開していますが、事前の私の心配をあっさり裏切って100件を軽く超え、事務局側が嬉しい悲鳴をあげる結果となりました。

参考:候補プログラム一覧

当然、世の中にはもっとこういった活動があるはずです。

ファンやアンバサダーを重視した活動というのは、どうしてもその企業のファンだけがメインターゲットのため、それ以外の人には活動が見えづらいですし、知られる必要がそもそもほとんどなかったりするケースが多くあります。

今回、2000名を超える企業担当者の方々にアンケートを送った結果、自薦・他薦も含めて100を超える候補リストができたということは、個人的にも非常に勇気をもらう結果でした。

アンバサダープログラムアワードの受賞企業である8社は、その中から企業担当者が参考にしている活動を、他薦のみで投票して選ばれた活動になります。

当然、こういったファンコミュニティやアンバサダープログラムのような活動は、外から見ただけでは実際の投資対効果として成果が出ているのか分かりませんし、そもそもどういった活動をしているのかさえ、サイトを見ただけでは分からないケースも多々あります。

また活動によって、目的がクチコミの活性化であったり、共創的な製品開発であったり、顧客とのコミュニケーション自体であったりしますから、企業や立場が変われば成功の定義が変わってしまうという面もあります。
 
そういう意味で、今回のアワードは異なる企業で同じような試行錯誤を続けておられる企業担当者同士が、自らが参考にしている活動として推薦し、投票をされた結果として受け止めてもらえれば幸いです。

とにもかくにも日本のファンやアンバサダーを重視した活動における代表的な事例が可視化できたことが、個人的には最初の一歩になればと考えています。

改めて、この企画をするきっかけをいただいた、アドタイのコラムと、このコラムにフィードバックをいつもいただける皆さんに感謝をお伝えさせていただきます。本当にありがとうございます。

8社の受賞企業の中には私も面識の無い方もおられますので、8月末に行う表彰も兼ねたイベントで苦労話や課題なども聞いてみる予定です。受賞企業から学んだ内容については、またこちらのコラムでご紹介できればと思います。

Author Profile

徳力 基彦
アジャイルメディア・ネットワーク株式会社  取締役 CMO ブロガー

NTTやIT系コンサルティングファーム等を経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。2009年2月に代表取締役社長に就任し、2014年3月より現職。書籍「アンバサダーマーケティング」においては解説を担当した。
Pocket

徳力 基彦 • 2016年8月30日


Previous Post

Next Post