第7回:今までのソーシャルメディア効果測定はもうやめて、『人』を見よう

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こんにちは、上田です。

今回からアンバサダー、ファンとのリレーションする取り組みの効果測定について、数回にわたって考えてみたい思います。

一部だけの見える数値をレポートするだけでは、ファンの価値を過小評価していて”もったい無い”というお話しです。

 

過小評価しがちなソーシャルメディアの効果測定

企業がユーザーと交流する接点として、TwitterやFacebookなど企業やブランドの公式アカウントを開設することは、もはや珍しいことではなくなってきました。

一方で、ファンと直接リレーションする価値については、社内で十分に伝えられなくて、次のステップに進めず苦労しているという話をよく聞きます。

エンドユーザーに価値を伝えることの大切さは理解しつつも、社内でその活動の価値がうまく伝わらない要因として、ごく一部の指標のみで計測、評価しており“ビジネス上の指標から乖離しているように見える”ことが挙げられます。

例えば、公式SNSアカウントで指標となるのは主に「登録数」「反応数(率)」「リーチ」の3つです。

公式SNSサイトの効果指標

登録者が●万人いて、投稿したら■■■いいね!がついた、◆◆万人にリーチした、反応数(率)は・・・

 

この指標の良いところは従来のメディアパワーを測る“もの差し”と揃えることで、その価値を分かりやすく社内に伝えられることです。

ただ、ソーシャルメディアの特徴や、取得できるデータの多様性を考えると、今までと同じ測り方をしていては、その価値を十分に把握することはできないばかりか、過小評価しているかもしれません。

今回は企業の公式SNSにおける効果測定の現状とその問題点、アンバサダー視点での効果測定の重要性について考えてみます。

ファンとのリレーションの価値は“一部”しか見ていない?

先ほど例に挙げたように、FacebookやTwitterの公式アカウントにおいて、効果測定の“起点”は「企業の投稿への反応有無」になっています。

裏を返すと、どれだけブランドに対してロイヤルティが高くても、“企業の投稿に対して反応しなかったファンの価値は一切含まれない”と言っている様なものです。

しかし、反応しなかったファンの価値はブランドにとって本当に“ゼロ”と考えてしまって良いのでしょうか?

能動的に企業やブランドの情報を求めて公式SNSに登録している人達ですので、企業のアカウントの“外”でも様々な貢献をしてくれていると考えるのが自然ではないでしょうか。

ファンの貢献活動は、見ていないエリアがある
しかし、現状では上記の図の示すように、ファンによるブランドへの貢献活動は左上の投稿に対する反応というデジタル側の一面だけしか見ておらず、せっかくのファンとのリレーションの価値をずいぶん過小評価している可能性があります。

見えている数字の向こうにある「可視化されていないファンの貢献活動」を明らかにするためには、アカウントの登録者を“かたまり”として見るのではなく、改めて“1人ひとりのファンが集まっている”という視点でとらえることがスタートラインとなりそうです。

まず可視化させるべきファンによる3つの貢献

ファンによる貢献活動の内容は、製品カテゴリや特徴、競合と比較したブランドのポジション等によって異なる傾向があります。
また、その貢献活動も「どこまで深く見るか」についても取れる情報次第で変わりますので、一定の仮説を元に段階的に見る領域を拡張していくのも良いかと思います。

まずは手がかりとして、この3つの貢献は必ず見ていくことをお薦めしています。

可視化されていないファンの貢献
(1)ファン自身のソーシャルメディアでの発言貢献
(2)ファン自身の購買貢献
(3)周囲の友人・知人への推奨貢献

それぞれ貢献について内容を見ていきましょう。

(1)ファン自身のソーシャルメディアでの発言貢献

先ほどの例にあるように“企業”の公式SNSで指標になっているのは“投稿への反応”です。

一方で、ファン1人ひとりが“自分”のSNSアカウントやブログを通じてブランドについて発言しているかどうか把握していないケースが多い様です。

本来は投稿の有無やキャンペーン期間に関わらず、「ファン自身がブランドについて発言しているのか?」、「どのくらい発言を増やす事ができているのか?」を明らかにする必要があるでしょう。

(2)ファン自身の購買貢献

ファンによる貢献活動はデジタル(ソーシャルメディア)上だけで起きている訳ではありません。

SNSアカウントの登録者はブランドについての情報を能動的に求めている人達ですので、製品を愛用していたり、リピートしているロイヤルユーザーである可能性も高いのではないでしょうか。

特に『来店』『購買』『利用頻度』など、ビジネスに直結する指標を把握することは、長期のリレーションによる成果を明らかにする上でも重要でしょう。

(3)周囲の友人・知人への推奨貢献

ファンの貢献は自身の来店や購買だけに限りません。むしろ、ファンの価値は「他者への推奨」にあるといっても過言では無いでしょう。

読んでいただいている皆さんも、ブランドのファンである友人のおススメで選択したり、自身のおススメで友人や同僚が購入や体験した、といった経験があるのではないでしょうか。

この様にテレビCMなどマス広告では振り向かなかった人に、伝わらなかった価値を伝え、人を動かすチカラを持つのは“身近な人の推奨”です。

どのくらい購買に貢献する価値を生み出しているグループなのかを把握することで、価値の高い「資産」として捉えることができるようになります。

また、適切にリレーションを重ねることで、ファンによる推奨活動は継続的に期待できる点からもLTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)同様、貢献効果を長期でカウントすべき指標といえそうです。

デジタル/リアルの両面からファンのビジネス貢献価値を把握する

長期にわたりブランドへの貢献をしてくれるファンの価値はソーシャルメディア上の発言を中心とした「デジタル」に加え、購買や来店、他者への推奨など「リアル」の貢献活動にも目を向ける事が大切です。

リアルの貢献価値
実際、熱量の高いファン=アンバサダーと中長期でリレーションをすることで、ブランドについてのクチコミが活性化したり、周囲の友人や同僚へ推奨することでビジネスへ貢献する成果が明らかになってきています。

次回以降、効果測定を「デジタル」「リアル」に分けて、どのように分析するのか、手法だけでなく事例を交えながら紹介します。

Author Profile

上田 怜史
アジャイルメディア・ネットワーク株式会社
代表取締役社長 CEO

商社にて建材を取扱い建設会社、設計事務所への営業活動に従事。 2004年シーネットネットワークスジャパン株式会社に入社し広告営業に従事した後。株式会社 ディー・エヌ・エーにて「モバゲータウン(現mobage)」の広告・企画営業を担当。2007年アジャイルメディア・ネットワーク株式会社入社。2009年3月取締役に就任後、2014年3月より代表取締役に就任。
企業やブランドの「熱量の高いファン=アンバサダー」とのコミュニケーション設計・支援、講演活動を行う。
茨城県 いばらきインターネットテレビ事業 検討委員会委員
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上田 怜史 • 2014年11月17日


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