アンバサダー、テレビCMに登場!〜書籍『アンバサダー・マーケティング』より 第30回

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「お客様の声を重視する」。最近はどの企業もそういった姿勢を打ち出しているようです。そのひとつのカタチとして、アメリカを代表する大企業フォードはアンバサダーと連携して次々と新しい試みをおこないました。この流れは時代の必然といえるものかも知れません。いろいろヒントがあると思いますので気軽にお読み頂ければ幸いです。

アンバサダーマーケティング藤崎実30

■︎マスメディア×アンバサダー

フォードのあるTV広告キャンペーンでは、実際のフォードオーナーが出演しました。彼らが突然、記者会見に引っ張り出され、取材に応えるという内容です。それは俳優やタレント、有名人ではなく普通のオーナーであるということが重要な広告キャンペーンでした。これは従来型のメディアとアンバサダーとを上手に融合させた手法といえます。そのポイントは下記の2点です。

①既存メディアは消費者に信頼されていないものの視聴者は圧倒的に多い。その特性を上手に活用した。

②信頼感の高いアンバサダーの生の声やメッセージを、TVを使って伝えることで、フォードという会社そのものに対する信頼感を作りだすことに成功した。

フォードのソーシャルメディア総責任者として有名なスコット・モンティ氏は、次のように語っています。

「われわれはアンバサダーの意見を広く伝えるために、既存のペイドメディアを使っている」「フォードは以前からお客様の生の声を活用してきたが、今回はさらにそれをクリエイティブに、従来と違うやり方で行った」

なるほどと思います。お客様の声を重視するという企業姿勢を重視すれば、アンバサダーにマスメディアに登場してもらうというのは、ひとつの方法論として、とても有意義な選択肢だと思います。フォードのTV広告キャンペーンがユーザーから好意的に受け入れられたのも納得できますね。

■そもそもなぜフォードはソーシャルメディアに力を入れることになったのか。

それはユーザーとのコミュニケーションを取ることで企業の危機から脱出するためだったそうです。

フォードがソーシャルメディアに力を入れる以前の2008年、当時のアメリカの自動車業界は、世界金融危機とガソリンの高騰により、大きな危機に直面していました。ビッグスリーのイメージ低下や販売台数の低下は深刻なものでした。そのような自動車産業全体が苦難に直面していた中で、フォードはブランドのイメージを正す必要に迫られました。

そして選択した方法がソーシャルメディアの活用だったそうです。スコット・モンティ氏は次のように語っています。

「フォードはGMやクライスラーとは違い、明確なビジネスプランがある」というメッセージを、ソーシャルメディアを活用して人々に伝えていくことにしました。」

「そして、フォード・ストーリー・ドットコムFord Story.com というウェブサイトを作り、自動車産業の危機に際し、フォードは何を考え、何を目指していくのかをユーザーにキチンと説明し、他の2社との差別化を図る必要があったのです!」

そして、ツイッターやフェイスブックに活動の場を次々と広げ、以前このコラムでも紹介した非常にユニークなキャンペーン「フォード・フィエスタ・ムーブメント」の大成功につながっていったというのです。

フォードの成功にはピンチの脱出というきっかけと、キチンとした流れがあったのですね。その結果、フォードは劇的にイメージを回復したというわけです。

■マーケティング予算の25%をネットに投入!フォード復活!︎

フォードはマーケティング部門のトップ、ジム・ファーリー氏の下で、クチコミを含めたソーシャルメディアの活用に積極的に取り組んでいます。アメリカ第2位の自動車メーカーであるフォードは、マーケティング予算の実に25%をネットとソーシャルメディアに注ぎ混んでおり、その割合は業界でも最も高いそうです。

もちろんユーザーが欲しくなるような車、さらには購入したオーナーが人に推奨したくなるような質の高い車を開発することは大前提です。その上で、フォードがおこなったユーザーと直接コミュニケーションをはかるというマーケティング戦略はさまざまな実績を残しました。

「アンバサダーとの感情的な結びつきは、われわれの秘密兵器だ。フォードへの熱い思いを他の人に伝えるためなら何でもする、というアンバサダーの意欲は非常に高く、純粋なものだ」と、スコット・モンティ氏は語ります。

フォードの事例は、ソーシャルメディアを活用したプロモーションの歴史に残る大きなな挑戦であり、成果だと思います。

※文中の記載は当時の数字やデータです。

 

アンバサダー・マーケティング
ロブ・フュジェッタ
日経BP社

Author Profile

四家 正紀
アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 シニアコンサルタント
1967年千葉県生まれ 法政大学法学部政治学科卒 1996年(株)インプレス入社。ネット広告事業の立ち上げを担当 2002年(株)カレン入社。広報を担当しながら2004年春から企業のブログ活用について啓発活動を展開。 同年秋から味の素など大手企業のブログ案件プロデュースを開始、数多くの企画を手掛ける。 2007年よりJR東海新幹線ブロガー企画などブロガーイベントのプロデュースも担当。 2010年4月より(株)ニューズ・ツー・ユーに勤務。ネットPRの商品開発、顧客向けイベントなどを担当 2013年7月1日アジャイルメディア・ネットワークに入社。改めて、ソーシャルメディアに挑戦する。 著書  『ビジネス・ブログ・ブック』(共著 2005) 『図解 ブログ・マーケティング (翔泳社・図解シリーズ)』(2005) インターネット白書2007に『ブログマーケティング』について執筆。 他執筆・講演多数。 AMNパートナーブロガーとして 裏[4k] を運営。 また趣味としてソーシャルメディアと連動する落語会『シェアする落語』を主催している。
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四家 正紀 • 2015年5月18日


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