フォードのソーシャルメディアマーケティング大成功事例「フォード・フィエスタ・ムーブメント」から学ぼう②〜書籍『アンバサダー・マーケティング』より 第28回

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アンバサダーマーケティング藤崎実28

今回も前回に続き、フォードが2009年から2010年にかけておこなった「フォード・フィエスタ・ムーブメント」についてです。アメリカを代表する大企業フォードだけに、この成功がもたらした影響は大きいものがありました。車業界以外の方にもヒントになると思いますので、ぜひともお読みください。

■︎全米キャラバン実施!イベント会場にはWI-FI設置。

全米から選ばれたアンバサダーとフォードが一緒におこなったプロモーションでは「全米をキャラバンする」、という企画もありました。以下はそのご紹介です。

フォードは、フィエスタの話題をソーシャルメディアからリアルの場に出して、より多くの人の注目を集め、実際に体験してもらうために、100名のアンバサダーを20人ずつ5つのテストライブチームに分かれて、全米100都市を巡るキャラバンを行いました。
各地の大型ショッピングセンターや大学のキャンパスなど、多くの人が集まる場所に行き、フィエスタの魅力をアピールしたのです。発売前の噂の新車がやってくる、しかもやってくるのは一般から応募されて選ばれた一般人であるアンバサダー!その話題性とキャンペーンの企画性で各地が盛り上がったことは容易に想像できます。

また各地の会場にはインターネットに接続できるWi-Fi環境を用意し、SNSなどを通じてフィエスタの画像や動画、感想やコメントなどを、その場で情報発信できるようにしたそうです。こちらも多くの人がさまざまな感想をSNSに投稿している様子が目に浮かぶようです。

ここでは「野外イベントではWi-Fi環境を準備する」ということも大切なポイントですね。多くのクライアントは、「ユーザーに情報をシェアして欲しい」と願っていますが、ではそのための環境をどこまで用意しているか、というお話です。より多くの人が「その場で情報をシェアできる環境」を準備することは、今後はとても重視されてくると思います。

■大切なのは広告以前の、ユーザーとのコミュニケーション!

企業がユーザーとのリレーションを重視する姿勢をとることは、現在のマーケティング上、大切なことは言うまでもありません。
フォードのConnie Fontaine氏は、さらに興味深いことを述べています。

「フォード・フィエスタ・ムーブメントは、フォードとユーザーが双方向でコミュニケーションできるイベントである」

つまり、今や「広告をする以前の、ユーザーとのコミュニケーションが大切」だということ。さらに「ユーザーと一緒に発売までのロードマップをイベントとして盛り上げていくことが大事」ということでしょう。

■「フォード・フィエスタ・ムーブメント」の成果

2010年のフィエスタ発売に先駆けて2009年におこなった事前キャンペーンで、フォードはいち早く、成果を出したといえるでしょう。その結果は以下となります。

◎アンバサダーが、約700本の動画を作成し、YouTubeで650万回視聴された。
◎Flickerの写真は74万PV。
◎Twitterの「フィエスタ・ムーブメント」のインプレッションは340万回超。
◎フィエスタの発売前の認知度は約60%を記録。(米国で未発売にも関わらず米国で発売後数年経っている車種と同じぐらい認知されていることが判明した)
◎5万名以上の人々が発売時により詳しい情報を求めた。(この5万人の97%に当たる人々はフォードの車を持っていない。)
◎8万人がフィエスタを購買すると手を挙げ。フィエスタは発売開始から6日間で1万台のセールスを記録した。

なお、「1ドルの広告費も使わず、若干のマーケティング予算を支出しただけで成果を得た」とのことですが、当然、100台もの新車の貸しやメンテナンス、イベントの準備などで、それなりの支出があったことは当然でしょう。

しかしマスメディアに頼らず、アンバサダーと連携してソーシャルメディア(Facebook、Twitter、YouTube、Flickr、ブログ、マイクロサイトなど)を活用しておこなった新しい取り組みは、新しい可能性を広げてくれました。
▼フォード・フィエスタ・ムーブメント
http://www.fiestamovement.com/

 

アンバサダー・マーケティング
ロブ・フュジェッタ
日経BP社

Author Profile

藤崎 実
藤崎 実
藤崎実 アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 クリエイティブディレクター
(プロフィール) 博報堂、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODOでの仕事を経て、アシャイルメディア・ネットワーク勤務。AMN コミュニケーションラボ主宰。多摩美術大学、日大商学部 非常勤講師 ◎日本広告学会クリエーティブ委員、産業界 評議員 ◎日本マーケティング学会/日本広報学会会員 ◎WOMマーケティング協議会 理事/事例共有委員会委員◎東京コピーライターズクラブ会員 ◎青山学院大学、学習院大学 非常勤講師【受賞歴】カンヌライオンズ、OneShow、クリオ賞、NYフェスティバル、reddotデザイン賞、iFコミュニケーションデザイン賞、クリエイターオブザイヤー、Webクリエーション・アウォード、東京インタラクティフブアドアワード、ACC賞、電通賞など多数。
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藤崎 実 藤崎 実 • 2015年4月16日


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