アンバサダーが効果を発揮する4条件。もちろんB2B分野でも効果的!書籍『アンバサダーマーケティング』より 第36回

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アンバサダーマーケティングは一般消費者向けだけでなく、B2B(企業間取引)にも有効です。なぜなら、人は誰でも商品やサービスの選択に失敗したくないので、その商品やサービスの「使ってみた感想」「実際のところ」を知りたいからです。そう思うとアンバサダーマーケティングは限りなく心理学に近いと言えます。なお、以下の事例やデータは書籍からとなります。

藤崎実

■︎B2Bアンバサダーが効果を発揮する4条件

実際のところB2Bマーケターにとって、今や顧客の体験談やレビュー、顧客紹介制度などはマーケティング上、欠かせない要素になっています。それらは、すべていわゆる“クチコミ”です。つまり、すでにほとんどB2B企業のマーケターは、そもそもクチコミを利用していると言えます。その際、大手B2B企業であれば、多くは組織的なマーケティング・プログラムを整え、顧客に参加を促すためのポイントや数々のインセンティブも用意しています。

アンバサダー・プログラムは、アンバサダーがコンテンツを作ったり、伝播力を持つコンテンツをプロモーション情報などと一緒にネットで公開・共有したりできるツールを提供することで、マーケティングを新たな次元に引き上げるものといえます。

本書によれば、B2Bアンバサダー・プログラムに向いていて、効果を発揮する企業として次の4つの条件があげられています。

①熱意のある顧客が多いこと

顧客が少ない企業でも、アンバサダー・プログラムではすばらしい成果を上げられるケースは少なくありません。例えばジェット機のフラクショナル・オーナーシップ(分割所有権)を販売していて、顧客が1000社しかいないという会社でも、そのうち25社が周囲に積極的に薦めてくれれば大きな意味があります。

とはいえ、アンバサダー・プログラムが本当に成果を発揮できるのは、数千人規模のアンバサダーを集められるケースです。大企業と中小企業の両方を顧客とする会社の場合、アンバサダー・プログラムのターゲットを数の多い中小企業にするケースが多いのは、このためです。

②顧客がツールを積極的に利用すること

これはとても大切です。もちろん熱意のある顧客が多いことも大事ですし、使いやすいツールを提供することも大事ですが、そもそも気軽にお薦めできるジャンルの商品やサービか、また積極的にツールを使うアンバサダーなのかどうか、という観点も大切です。

ズーベランス社の事例ですが、以前に医療機器メーカーがユーザーである医師の中から、大勢のアンバサダーを集めようとしたことがあるそうです。ただし、医者というものは、顔を合わせた時にお互いの取引会社や商品を薦めることは多いそうですが、医療機器メーカーがネット上にレビューを書いて、それを周囲にシェアするためのツールを提供しても、積極的に利用しようとする医師は少ないそうです。これはいろんな意味で納得できる話です。アンバサダーの立場上の問題もあります。また、人に安易にお薦めできない分野の商品もあるというお話です。

③ネット(特にメール)を通じて、アンバサダーと直接接触できるか。

メーカーなどB2B企業の多くは、付加価値再販売業者(VAR)のような流通パートナーを通じて商品を販売する企業が多いので、直接アンバサダーと接触する方法は限られてきます。ズーベランス社でもB2B企業のアンバサダーの活性化を試みた際に、最大のハードルになったのは、メーカーにとってエンドユーザーと直接接触する機会もなければ、連絡先もわからなかったことだそうです。

一番肝心なエンドユーザーの連絡先を握っているのは、流通パートナーです。そして流通パートナーは、エンドユーザーの情報をなかなか譲り渡してくれなかったそうです。
ですので、アンバサダーになってくれるユーザーと直接接触できるかどうかは大変重要なポイントです。
逆に、エンドユーザーと直接接触できる企業にはチャンスがあると言えます。そのチャンスを生かすべきではないでしょうか!

④ブランドに対する顧客の認知度

顧客が、そもそもそのブランドを知らなければ、その商品の良さを周囲に薦めてもらうのは難しいでしょう。例えば、これからアンバサダーになってもらおうとしている商品やサービスが、実際は大規模なビジネスソリューションの構成要素のひとつだったとしたら、顧客はそのブランド自体を実際のところは認識していないかもしれません。

具体的にいうと、あるITソリューションの一部を使っている人が、実はそれがもっと大きな、例えばインテルが提供しているサービスだと知らなければ、認識も推奨もできない、ということです。

以前、日本の村田製作所の広告で以下のようなシリーズがありました。

「村田製作所は、中のことをやっています。」(1993~1994年)、
「ナカハムラタデスカ?」(1994~1995年)
「そとはピーなかはムラタ。」(1995~1996年)
これはよく知られた大きなシステムや機器の中身は、実は村田製作所が支えているということを伝える広告でした。

このように中身の存在が知られていない場合は、他者にとって認識も推奨もできないので、クチコミ以前に、その存在を伝えることが優先事項となるわけです。

◆◆◆
今回は多少厳しい話も多いコラムでしたが、B2Bアンバサダーは確実にいます。

購入に失敗したくない企業の購買担当者にとってクチコミは、商品やサービスを購入するかどうかを決める重要な手掛かりですし、
企業の購買担当者として購入に満足感を持った人は、業界内の購買担当者に向けて推奨したいと思うのが心理だからです。

 

 

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Author Profile

藤崎 実
藤崎 実
藤崎実 アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 クリエイティブディレクター
(プロフィール) 博報堂、大広インテレクト、読売広告社、TBWA HAKUHODOでの仕事を経て、アシャイルメディア・ネットワーク勤務。AMN コミュニケーションラボ主宰。多摩美術大学、日大商学部 非常勤講師 ◎日本広告学会クリエーティブ委員、産業界 評議員 ◎日本マーケティング学会/日本広報学会会員 ◎WOMマーケティング協議会 理事/事例共有委員会委員◎東京コピーライターズクラブ会員 ◎青山学院大学、学習院大学 非常勤講師【受賞歴】カンヌライオンズ、OneShow、クリオ賞、NYフェスティバル、reddotデザイン賞、iFコミュニケーションデザイン賞、クリエイターオブザイヤー、Webクリエーション・アウォード、東京インタラクティフブアドアワード、ACC賞、電通賞など多数。
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藤崎 実 藤崎 実 • 2015年11月12日


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